思考断片

「高級生食パン」が果たした役割

 

「高級生食パン」と呼ばれる高価な原材料を使用した食パンがブームになって久しいが、もはや日本人の食の選択肢の一つとして定着した感がある。あれだけリッチな配合で、もし安い油脂を使っていたら、多分二口目は食べられないと思うが、いい材料を使っていれば、また食べたいと思わせるパンに仕上げられるし、これまでの食パンの価格の常識を打ち破ったので、原価もそれほど気にする必要がない。生産効率がいいとされる食パンで、しかも少品種生産なので、労働生産性も悪くないに違いない。

先日、ある高級生食パン店の食パンを手土産に頂く機会があった。デパートで、ちょっとした贈り物を購入すると入れてくれるようなおしゃれな手提げ袋に、大きな食パンと瓶詰のコーヒージャムが入っていたが、これがまさに「プチ贅沢」と呼ぶにふさわしい頃合いで、気分は限りなく軽やかになった。

異論がある向きもあるかと思うが、「高級生食パン」は、パン業界に大きな貢献をしてくれたと思う。ギフトとしてのパンのイメージをある程度まで普及させてくれたと思う。トラディショナルなリテールベーカリーで、パンのギフトに力を入れる場合も、以前よりはやりやすくなっているのではないだろうか。

洋菓子業界にとって、ギフト需要の存在は大きいと思うが、パン業界においても、ギフト需要がもっと取り込めたら、可能性が大きく広がるのではないだろうか。今こそ、ギフト需要の開拓に、トラディショナルなリテールベーカリーの視点から、積極的に取り組むべき時ではないかと思う。

[2022/01/21]

INFORMATION

小平隆一
(James Odaira)
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住
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